鉄は黒色というイメージを持たれている方が多いかと存じますが、鉄瓶は作りたての状態ですと銀色です。
釜焼き前の鉄瓶
この銀色の鉄瓶が釜焼きの工程によって、内面はグレーに変化します。
釜焼きとは 鉄瓶のサビ防止ための「釜焼き」という工程がございます。
「金気止め」ともいわれます。
約900度の炭火で30~40分焼くことにより、サビ止めの酸化皮膜を形成させる伝統技法です。
釜焼き
900度の熱で焼いた鉄瓶の表面には、酸化鉄(通称「黒サビ」)という細かい粒子でできた膜が形成されます。
この釜焼きの作業によって酸化皮膜を施し、サビにくい鉄瓶に仕上がります。
釜焼きによってグレーに変化した内面
作りたての鉄瓶の使い始めは、沸かしたお湯に剥がれた皮膜が混入する場合がございます。
故障ではございませんので、そのままご使用ください。
また、剥がれた皮膜を飲んでも身体に害はございませんので、ご安心ください。
釜焼きによってグレーに変化した内面に漆を焼付ける技法もございます。
こらちらも古来より伝わる技法で、沸かしたお湯に鉄分が含まれております。
釜焼き後に漆を焼付けた内面
釜焼きの由来 明治時代に盛岡で起こった大火事の際、焼け落ちた工房に残っていた鉄瓶に金気が出ないことから着想を得て、当時の職人が技法として「金気止め(錆止め)」を考案したと伝えられています。